旬の特集
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文書作成日:2024/03/16
昨年の賃金改定で企業が最も重視したこと

新年度を迎えるこの時期、これから賃金改定を行う企業もあるでしょう。ここでは昨年11月に発表された厚生労働省の調査結果(※)から、昨年の賃金改定で、企業が重視したことをみていきます。

1
2023年の賃金改定状況

 上記調査結果によると、2023年に1人平均賃金を引き上げた(引き上げ予定を含む)企業の割合は89.1%でした。反対に、引き下げた(引き下げ予定を含む)割合は0.2%でした。また、引き上げ実施企業における1人平均賃金の改定率は3.4%で、2022年より1.3ポイント増加しています。

2
改定で重視したこと

 上記調査結果で、賃金改定を実施または予定している企業のうち、賃金改定にあたり最も重視した要素があると回答した割合は、87.2%でした。
 賃金改定にあたり最も重視した要素では、企業の業績が36.0%で最も高く、労働力の確保・定着が16.1%、雇用の維持が11.6%で続いています。なお、企業の業績は徐々に割合が低下しています。2010年は60.4%だったものが、2019年は50.0%、2023年は前述のとおり36.0%という状況です。

3
物価の動向も重視

 次に賃金改定にあたり最も重視した要素、そのほかに重視した要素2つに関する複数回答の結果をまとめると、下表のとおりです。

 2022年、2023年の結果とも、複数回答であっても上位3つは最も重視した要素と同じでした。ただし、2022年からの増減をみると、物価の動向が20.3ポイント増加しています。物価の動向を重視した企業が増えていることがわかります。
 物価の上昇を考慮した賃金引き上げは、雇用の維持や労働力の確保・定着のためにもなりますが、企業にとっては賃金改定にあたり重視すべき要素が増えて、業績にかかわらず、可能な範囲で賃金引き上げを実施せざるを得ない状況にあるともいえるのかもしれません。

 今年の賃金改定はどのような様子になるでしょうか。

(※)厚生労働省「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査
 日本標準産業分類による15大産業に属する常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業のうちから、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業を対象に2023年7月〜8月に行われた調査です。調査対象企業数は3,620社、有効回答率は52.5%となっています。

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