会話形式で楽しく学ぶ税務基礎講座
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文書作成日:2023/05/10
赤字でも適用できる設備投資による減税制度

固定資産税が最高ゼロとなる特例措置は、令和5年度税制改正によりどうなりましたか?

出演: … M社 経理部部長   … 顧問税理士

― M社 ―

M社経理部古門部長と顧問税理士が、打ち合わせをしています。

 固定資産税がゼロになる特例措置がありましたよね?

 はい。
 固定資産税がゼロ〜1/2に軽減できる特例措置ですね。

 あの措置は、令和5年度税制改正で延長とかされなかったのですか?

 はい。
 残念ながら、令和5年3月31日をもって廃止されました。

 そうですか。残念ですね。

 設備投資の予定がありましたか?

 そろそろ工場の機械装置の入替を検討しようかと思ってまして…。

 そうでしたか。
 固定資産税をゼロまでにはできませんが、認定を受けた「先端設備等導入計画」に基づく設備投資について、固定資産税の課税標準を1/2あるいは1/3にできる措置は、令和5年度税制改正で創設されましたよ。

 1/2、1/3ですか…。
 まあ、それでも減税なし、というよりかはましか。

 はい。
 ただ、今回の趣旨は「投資と賃上げを後押しする」ということになっていますので、従前との大きな違いとして、投資利益率や賃上げに関する要件があります。
 一方、従前は工業会等から一定の設備であることの証明書の取得が必要でしたが、今回これは必要ありません。

 投資利益率や賃上げですか?

 はい。
 たとえば投資利益率については、年平均5%以上の投資利益率が見込まれる投資計画書の策定が求められますし、この計画書については認定経営革新等支援機関の確認が必須です。

 賃上げはどうでしょうか?

 たとえば賃上げ表明があると、通常、固定資産税の課税標準が3年間1/2となるのが、最長5年間1/3になります。

 賃上げ表明、ですか?

 はい。
 賃上げ表明とは、雇用者給与等支給額が1.5%以上増加する賃上げ方針を策定して、従業員へ表明し、その表明について認定申請書に記載して、表明したことを証する書類を添付して申請をすることを指します。

 賃上げ表明は、認定経営革新等支援機関の確認は要らない、ということですか?

 はい。
 賃上げ表明に関しては、認定経営革新等支援機関の確認は不要です。

 従業員への表明とは、具体的にはどうするんですか?

 表明方法として、たとえば、社員全員へのメール・社内の掲示板への掲載・朝礼で口頭説明などが考えられます。また、従業員全員ではなく、従業員の代表者のみに行うことも可能ですが、いずれにしろ、表明したことを証する書類に、表明を受けた従業員代表者の署名(記名・押印も可)が必要です。

 そうですか。
 何だか少し面倒ですね。

 そうですね。
 固定資産税の特例措置となりますので、これまでと同様、申請先の市区町村がこの措置を適用するのか否かを確認し、適用するのであれば市区町村が策定した「導入促進基本計画」で対象設備であることの確認などが前提として必要となります。計画を策定したが、申請先がこの特例措置を適用しない市区町村だった、というのも残念ですからね。

 まあ、そうですね。

 いずれにしろ、固定資産税は赤字にしろ黒字にしろ関係なく課税される税金です。減税効果と手続等の手間とを天秤にかけて検討されてはどうでしょうか。

 そうですね。
 設備投資を考えるときは早めに相談します。

 そうですね。
 認定前の取得は対象外になってしまうので、そうしていただければ幸いです。

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